インプラント治療は、初診〜メンテナンス開始まで、比較的長期にわたる治療です。
当クリニックにおける治療フローを下記に示しましたので、ご参照ください。

インプラント治療フロー

  1. 初診〜主訴把握、口腔内診査、治療概説

    ●主訴の把握、全身的な既往歴等の病歴・服薬状況を伺います
    ご来院されましたら、通常の診察と同じく主訴の把握、問診をさせていただきます。特に、歯を失った(失う可能性がある)のは何時、どのような状態であったか等を良く伺います。


    また、治療を行う上で必要となる全身的な既往歴・服薬状況やアレルギーの有無をお尋ねいたします。
    インプラント治療は外科処置を必要とするため、疾患の状況や服薬内容によって処置ができない場合があります。
    👉 インプラント手術 ー外科手術の際にリスクとなる全身疾患ー

    ●お口の中の診査、X線撮影、お口の中の型取り
    つづいて、お口の中の診査(歯や歯ぐき)をさせていただき、各種検査、歯科用X線写真を撮影します。

    歯周組織検査結果表
    乳歯晩期残存ケース


    また、お口の中を再現し、噛み合わせを診るため型取りをさせていただき診断用の模型をつくります。




    この模型上でインプラントが入る位置の確認や将来的な噛み合わせや見た目を検討し、診断用ステントト呼ばれるX線CT撮影の際に利用するマーカーを配置した装置、あるいは治療ケースによっては手術時に利用するサージカルガイドと呼ばれる治具を作製します。

    ●お口の中に虫歯や歯周病がある場合にはインプラント治療に優先して加療を行う場合があります。
    インプラント治療に影響があると考えられる虫歯(歯の神経の治療後の炎症)、歯周病が認められる場合には、インプラントに先立ち、これらの治療を優先して行います。
    また、重度の歯周病に罹患している歯がある場合、インプラント治療中、治療後においてハイリスクとなるため、事前にPCR法にもとづく歯周病細菌検査を行う場合があります。

    ●インプラント治療概説
    インプラントの治療前はもちろん、治療後に適切にメンテナンスを行っていただくためにも、当クリニックでは、独自に制作したプレゼンテーションソフトを見ていただきながら、下記の点を良くご説明いたします。

    *インプラント治療概説でご説明する内容

    1. 他の欠損の治療法とこれら治療のメリット、デメリット
    2. インプラントと天然歯との違い
    3. インプラントの素材、構造
    4. インプラント治療の適応症と非適応症
    5. 治療の可否に関連する全身疾患、薬、生活習慣
    6. インプラント治療の流れ
    7. インプラント治療における偶発症、リスク
    8. インプラント治療後のメンテナンスケア
    インプラント治療個別無料相談

    当クリニックでは、歯を失った(失う可能性がる)場合、その後の治療について、インプラントのみならず他の代替治療を含めたご説明、ご相談を無料で行っています。
    歯を失った顎の治療には幾つかの方法があり、各々メリット、デメリットがあり患者さまに適切と考えられる治療方法をサジェスチョンさせていただきます。
    なお、本相談は約30分程度で、Zoomによるオンライン相談、オフライン(ご来院いただきます)の2通りの方法が選べます。
    なお、この相談では、お口の診査やX線検査は行いません。

    詳細は、下記の専用サイトにてご確認ください。

    にしなか歯科クリニックーインプラント治療個別無料相談
    インプラント無料相談イメージ

    ●X線CT撮影
    欠損の治療としてインプラントが適切と判断され、治療をご希望された場合には、X線CT撮影をさせていただきインプラント埋入予定部位における骨量、骨形態、解剖学的な様子をしらべます。


    また、この撮像データを利用し、使用するインプラントを重ね合わせてシミュレーションを行う専用のソフトウエア(ノーベルクリニシャン(NobelBiocare社)Simplant(デンツプライシロナ社))を用いて治療計画のための分析を行います。

  2. シミュレーション分析に基づくインプラント治療の説明(方法、手順、期間、治療料金)

    X線CT撮影による撮像データおよびシミュレーション分析の結果を患者さまに見ていただき、具体的な治療計画をご説明します。

    当クリニックでは、分析結果による、治療方法、治療に要する期間、治療費、保証期間 等のご説明をし、患者さんが良くインプラント治療をご理解され、ご同意を得てからインプラント治療を進めてまいります

    👉インプラント治療料金

    治療にご同意を得られた後、インプラント治療へはいってまいります。

    再度、現在のお体、服薬、嗜好品等の問診をさせていただき、独自に作成したクリニカルパスを用いて治療前後の日常生活の注意点等をご説明いたします(下画像、当クリニックの患者さま用パス)。

    クリニカルパスは、検査や治療の予定とタイムスケジュールを示した治療計画書です。これは医師、看護師だけではなく、患者さんの治療に関わる 様々な職種(薬剤師、栄養士、理学療法士、歯科栄養士など)の人がきめ細かに作成したものです。患者さんにお渡しするパスは図や表を使用し、できるだけわかりやすいものにしています。専門的な医学用語は使用せずに日常で使用される言葉を用いて作成し、どなたでも理解できるように心掛けています。

    *クリニカルとは 広島市立安佐市民病院HPより引用

    なお、患者さま用パスとは別にスタッフ用パスがあり、ここでは手術術式や投薬はもちろん、術前、術中、術後の患者さま動態、使用器具、機材、インシデント、アクシデント等の発生等を系統的に記録し、スタッフ間でこれらを情報共有しています。
    このパスの使用は18年前より行っており、安全な治療へ繋がるよう常にフィードバックを行っています。

  3. インプラント埋入手術(1次手術の場合)

    当日、血圧等の測定を行い全身状態を把握させていただき、再度、治療方法について確認説明を行います。

    手術は、クリーンルームとなるオペ用専用個室にて施術を行います。
    なお、当クリニックでは、専用個室、エアーカーテン浄化空調の完備をしています。室内は、できるだけ術中の不安感を払拭するため、よく目にする仰々しい”オペ室”の雰囲気をできるだけ排除するよう設計しています。

    ●インプラント埋入手術

    お口の中のクリーニングを行った後、局所麻酔下にインプラントの埋入手術を行います。必要であれば、静脈鎮静麻酔を併用する場合があります。

    インプラント治療の流れ
    インプラント治療のフロー

    麻酔が奏功していることを確認し、通法により、歯ぐきを切開、剥離してインプラントを埋めるための穴をドリルで形成します。次いで、インプラント体(本体に相当する部分)をねじ込み、キャップをとりつけ、歯ぐきを元に戻して縫合します。

     

    ●1回法および2回法埋入手術

    手術の方法には、上のフロー図に示しますように、インプラントを歯ぐきの下にいったん隠す方法(2回法)、インプラントにキャップをとりつけて歯ぐきの外に出す方法(1回法)の場合があります。
    これらは、骨造成手術の有無等の理由によりケースバイケースで使い分けされます。

    オペに要する時間は、当クリニックの場合、単純埋入(骨造成等の処置を行わない場合)では、1歯あたり10〜15分程度です。

     

    ●コンピュータガイド型インプラント治療に基づく外科手術

    コンピュータガイド型インプラント手術とは、X線CT撮影によって得られた撮像データをPC上でインプラント埋入シミュレーションを行い、このデータを基にCAD/CAMにより手術に使用する治具(サージカルガイドという)を製作、用いて、PCシミュレーションと同じように外科手術を遂行することです。

    下画像(患者さまの同意に基づき掲載)には、上段にPCシミュレーションの様子、下段は術後の所見を示しています。術前のPCシミュレーションとほぼ同様な埋入手術が施行されたことがわかります。なお、このケースではフラップレス手術と呼ばれる方法により、歯ぐきの切開・剥離を行わず出血はほとんど見られず、非常に短時間で手術が終わりました。

    MIS(最小侵襲手術)と呼ばれる手法の一つです。当クリニックでも、ケースにより積極的に活用しています。

    コンピュータ支援外科手術シミュレーション
    サージカルガイド術前術後

    ●オペ後の注意点とご帰宅
    オペ後、リラクゼーションをはかった後、上記、クリニカルパスを再度確認し、術後の服薬や生活上の注意点をご説明し、ご帰宅いただきます。

    👉 参考…『インプラント治療は痛いですか? ー術中、術後の痛み、他の外科手術との比較ー』

  4. インプラント埋入手術(2次手術の場合)

    歯ぐきの治癒を確認し、局所麻酔下に粘膜をわずかに切開してインプラント体のキャップを交換します。
    *参考 上図(インプラント治療のフロー)

  5. 上部構造(最終的なかぶせ)の製作と装着

    インプラント埋入手術後、歯ぐきと骨の治癒が経過良好に推移した適切な時期に、上部構造製作のための型取り、噛み合わせの記録をとっていきます。なお、噛み合わせの推移を検討する場合や見た目が重視されるようなケースでは、仮歯をつくり一定期間、経過を見ていく場合があります。

    インプラント体にアバットメントを装着し(スクリューにより固定)、最終的な上部構造(かぶせ)をセット(セメントあるいはスクリュー)した後、歯科用X線写真での確認、メンテナンスケアに関するご説明をいたします。

    以降、メンテナンスケアに移っていきます。

  6. メンテナンスケア

    定期的にご来院いただき、インプラント周囲における汚れの付着状況や炎症所見、噛み合わせのチェック等を行います。
    具体的なケアの方法について、患者さん個々のお口の中の状態、装着した上部構造に合わせて専門資格を有する歯科衛生士が適切なブラッシングをはじめとしたケア方法を説明指導させていただきます。
    付着した汚れはインプラント専用のメンテナンス器具を用いてクリーニングを行っていきます。


    メンテナンスは、ケースバイケースですが、3ヶ月〜6ヶ月に1度の割合で行っていきます。必要に応じ、歯科用X線写真において骨とインプラントとの状態を検査します。

●インプラントはお口の中に入ってからが始まり
インプラントのメンテナンスは、通常の歯の場合と大きく変わることはないですが、インプラント周囲の歯ぐきの構造様式は、天然の歯とは少し異なっていることから、自宅でのブラッシングをはじめとしたセルフケア、歯科医院におけるプロフェッショナルケアが重要になってきます。

私たちは、インプラント治療は装着してからが始まりであると20年以上この治療と関わり学び、認識しています。
末永くお口の中で機能できるよう支援させていただきます。