5月初までのコロナ渦の勢いも静まり、発出されていた各種制限、自粛の解除が行われ、見かけ上の感染収束を見せるようになった現在。
クリニックにも、これまで来院の自粛をされていたクリーニングや歯周病のメンテナンスケアのための患者さんが再び来院されるようになる。

当院では、インプラント治療を専門とすることから上述のメンテナンスケアに訪れる患者さんのお口の中には7割近くにおいてインプラント治療が施されている。
長期的に経過を診させて頂いている患者さんには、術後20年を越える方も多い。

 


*患者さんのご同意を得て掲載

長年のメンテの中で、教科書、清書には出ていない治療上の事象に遭遇することもしばしばある。

インプラント治療の長期予後に関するデータも数多くあり、
下記、文献に示されている歯周病との関わりは臨床実感でもよく理解できる。

 

比較的長期の予後観察中(10〜16年。Straumannインプラント)に、生物学的、メカニカルな側面における様々なトラブルが認められた。歯周病の既往のある患者は、同疾患の病歴のない患者よりもインプラントの生存率が低く、インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎などの生物学的合併症を起こしやすかった。

 

Pierre Simonis 1, Thomas Dufour, Henri Tenenbaum : Long-term Implant Survival and Success: A 10-16-year Follow-Up of Non-Submerged Dental Implants., Clin Oral Implants Res., (7):772-7, 2010.

 

メンテナンスケア(治療を含む)をきちんと行っていても、歯周病(中等度以上)に罹患している、あるいは重度の歯周炎の既往があるケースでは、インプラント周囲炎(インプラント周囲粘膜炎)を起こすリスクはやはり高いと思われる。

 

”患者さんは生きる教科書”
の如しである。