前回、インプラント治療におけるX線CT撮影・診査のことについて触れた。
同治療におけるCT診査では、その第一要件に残存する骨の形や量、神経・血管等の走行・分布といった解剖学的事項等があげられるが、骨の質の情報も把握できる点で非常に有用である。
これより先,X線CT撮影(以下、CT)の概要について説明し、この”質”を把握する有用性について説明してみたい。

歯科を受診し歯のX線写真を撮るような撮影法を、堅苦しい言い方をすれば単純X線撮影(以下、レントゲン)と呼ぶ。 レントゲンとCTを撮影する場合では、どちらも放射線を利用する画像検査であるが、各々によって得られる撮像データの性質(意味合い)はまったく異なっている。これはその撮影時に被写体を透過させた放射線の画像処理の基本原理が異なっていることによる。

■レントゲンの場合

レントゲンでは、被写体(体・臓器の部分)にあてた放射線は、透過して体外に出てくるものと、吸収されるものとに分かれる。その透過・吸収の差を白から黒のコントラスト(濃淡)の変化で表したものがX線写真であり2次元で描出される。平たく言えば、カメラで撮影した画像に良く似ている。

■CTの場合

CT撮影は、被写体(体の部分)にX線を多方向からあて、その投影されたものはエネルギー量として検出器で取得、これを同時にコンピュータ処理して3次元的な画像構成が行われる。 ここでは、X線のあたる臓器部分を”ボクセル”と呼ばれる極めて小さい大きさの単位の立方体で構成し、この各単位のX線吸収係数を求めて数値化する。

CT値とは、CT画像だけに適応される値であるが、水のX線吸収係数(X線の吸収しやすさ)を基準にCT値を0とし、水よりX線吸収係数の高い組織はCT値が大きく、X線吸収係数の低い組織はCT値が小さく表示されるように設定してある。このCT値は、−1000〜+4000までに及ぶとされ、この値を画像データに処理するためにグレースケール(良く見る、白から黒までの濃淡)に割り振って撮像画像を作っている。

大きく、違いをまとめるとレントゲンは2次元で被写体を透過した放射線で示すのに対し、CTは3次元で被写体各部における放射線の吸収量をもとに目に見える形で表現している。 上記のもう少し詳細なことは、数年前の拙ブログに記載していますので、ご参照いただければ幸いです。

■Amebaブログ  にしなか歯科クリニックBlog  X線CTの話 「白くみえるもの その2」

続きは、またの機会に、今日はここまで。