昨日、小児歯科講義の話の一部(はえはじめた6歳臼歯のブラッシング)を書きました。
良い機会なので子供さんのブラッシングについて不定期ながらまとめていこうと思います。
今日は、歯が生えるまでのお話です。
お子さんの歯が生え始め、歯磨きを急に始めようとしてもなかなか触らせてくれなかったり、嫌がったりするのが普通です。
このため、生まれて歯が無い時期から生えはじめるまでの間はその準備期間。
歯磨きの第一歩は、お子さまのお口の周りのスキンシップからです。
お口に関するスキンシップの具他的な方法(ブラッシング準備期間)
- できるだけお口の周りを触りましょう
- 手のひらで頬を触り、じっと手を添えてあげる
- 唇の周りを指で触れる等
- お口の中を観察し、歯が生えていないか、清潔な指で歯茎を触ってみる
子どもさんをあお向けに寝かせて頭をお母さんのひざの上にのせ、口の中の周りのスキンシップをはかりましょう。
ただし、お口の中を観察、指で触るときには清潔にしておくことは言うまでもないですが、口を開ける際などに上唇の裏を触るのを嫌がるので注意しましょう。
個人差はありますが、6〜8カ月頃から下の前歯が生えてきます。
ここで、よく質問を受ける
母乳との比較で粉ミルクはむし歯になりやすいか?について記します。
母乳には数百万といわれる生きた細胞が含まれ免疫成分や各種臓器の発達を促す細胞もあるといわれます。また、成長を助けたり遺伝子の発現を調整する因子も含まれている点は、人工の粉ミルクとは大きく異なります。
粉ミルクは、主に牛乳が原料ですが、母乳に近づけるため、日本の育児用ミルク成分は健康増進法(乳児用調製粉乳)に定められた基準(必須栄養成分)にしたがっています。
むし歯の発現に関連すると考えられる糖については、母乳、粉ミルクともに複合糖質のオリゴ糖です。最近よく耳にするプロバイオティクス、腸内細菌を整え免疫力を高め感染防御能を高めるとされます。
むし歯の発生リスクには差がないといわれています。
肝心なことは、リスク要因には、母乳、粉ミルクともにその与え方、すなわち哺乳の時間や姿勢に関連すると考えられています。
以上、今日は歯が生えるまでのブラッシングのための助走期間のお話をしました。