未明まで降り続いた雨は止み、今朝は薄曇りながら晴れの日を迎えました。
広島地方気象台によると中国地方の大雨の峠は越え、8日午前5時現在、県内では7日夜から新たなけが人や住宅への被害などは報告されていないといいます(中国新聞より)。

しかしながら、
記録的な大雨により、九州では熊本を中心に数十名の方がお亡くなりになり、今なお行方の分からない方がおられるとのこと。捜索が難航し、被害の全容も把握できていないとされます。
犠牲となられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、負傷された方々の一刻も早い回復と、避難されている方々の生活の再建が早くなされるようにと祈っています。

今日は、災害時、避難所生活を余儀なくされた場合に是非とも知っておいてほしい用語とその意義について触れたいとお思います。

その用語は、『災害時口腔ケア』です。

被災者の避難所生活が長期化すると、被災した高齢者の肺炎が増加するという報告があります。
この肺炎の多くは、誤嚥性肺炎であると指摘され、これは食事時、口腔内細菌を食物とともに誤嚥することにより発症すると考えられています。
ライフラインが絶たれた場合、貴重な生活資源となる水の使用が限られ、お口の清掃は滞りがちになるため、口の中に細菌叢となるバイオフィルムの形成が促されます。この細菌塊が感染源となり肺に誤って到達した場合に肺炎が誘発されるといいます。
このバックグラウンドには、避難所生活による精神的ストレスや避難所生活における体力的低下および免疫力の低下があり、とくに嚥下機能の低下した高齢者、要介護者において誤嚥をさらに誘発しやすくなるのではと考えられています。

厚労省HPにも上記に関連する資料がPDFで配布されています。
具体的な手順とも記載されています。必要な時には是非ご参照ください。

*厚労省HP 『災害時のお口(くち)のお手入れについて』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000122257.html

避難所において、良く問題となるのが水が不足しているために起こるブラッシングの問題
少ない水を効果的に利用するための方法を下記に示します。ご参考にしてみてください。

<自立度(洗口が自分で出来る場合)のある方のブラッシング方法>
1)洗口2回分の水(約30mL)をコップ A(最後に洗口で使用)として準備。
2)別のコップ B(歯ブラシすすぎ用)に約20mL の水を用意し、その水で歯ブラシを濡らしてから口の中へ入れ、歯みがきを開始
3)歯ブラシが徐々に汚れてくるので、ティッシュペーパーで歯ブラシの汚れをできるだけ吸い取り、コップ B で歯ブラシをすすぎ、また歯みがきをする。これを小まめに繰り返します。
*ティッシュペーパーで歯ブラシに付着した汚れをうまく吸い取ることができれば、コップ Bの水があまり汚れない
4)最後に、②のコップ A の水で2回洗口します(1回あたり15mL)。30mL 一気に含むのではなく、2回に分ける方が圧倒的にきれいになります。
※イソジンガーグルなどのうがい薬、デンタルリンス、洗口液が入手できれば、水に適下して使用すると効果的に。

文献
1)福原正博ほか : 阪神淡路大震災被災初期・中期・長期における内科領域の患者発生状況と疾患構造. 日本災害医学会会誌,44(5) : 339~343, 1996.
2)(社団)日本口腔ケア学会HP:災害時の口腔ケア, 『(別刷)水の使用を最小限にしたい場合の口腔ケア』