今日は、前回、房楊枝の説明の際に触れた、歯と歯との間、歯間部の清掃について記したいと思う。

歯ブラシだけで、”ダメなん?”
なんて質問をしたい方がおられるかもしれない。

本当に予防(できるだけ汚れを落とす清掃)のことを考えるのであれば、”ダメに近い”と言わざる得ません。

歯間部の清掃は、ご自宅のおけるセルフケアにしても我々が行うプロフェッショナルケアにおいても、いろいろと難しい側面を有している。

その理由の第一にあげられるのは、歯と歯肉の解剖学的な形態である。
歯、前歯および臼歯における歯根の形態は単純な曲面ではできていない。
とくに臼歯の歯根表面の形は非常に複雑な形をしている(下図)。

*上図は、山口幸子著:歯科衛生士臨床ビジュアルハンドブック、クインテッセンス出版、東京、2010より引用

 

もう一点は、歯と歯とが接触する部分(我々はコンタクトポイントと呼ぶ)の直下の歯肉の形がやや凹んだようになっている。
したがって、これらの部位では歯垢(プラーク)等の付着物が停滞しやすい。

前回、ツースピック(デンタルピック)は歯垢の除去効果が少ないと述べたが、上記のことを考慮すれば容易に想像されることであるが、科学的な根拠があるかどうか論文を渉猟してみた。

 

7編の研究報告(438名の被験者、観察期間3-14週 プラークインデックス(PI)と歯肉炎指数(GI)について)のシステマティックレビュー

Hoenderdos, N.L., Slot, D.E.; Paraskevas, S., Van der Weijden, G.A. : The efficacy of woodsticks on plaque and gingival inflammation: A systematic review. , Int. J. Dent. Hyg. 6: 280–289, 2008.

このペーパーの結論は、歯ブラシとウッドスティックとの間に有意な差はみられなかった。すなわち、ウッドスティックを使っても使わなくても歯ブラシの効果と変わらないということである。
もう少し、つっこんで言えば、(歯ブラシではもともと歯間部の歯垢除去が難しい)ウッドスティックを使っても汚れはあまり取れないよということである。

*海外では、ツースピック(Tooth pick)は日本で利用される”(丸形)爪楊枝”のことを指し、ウッドスティック(デンタルピック、Woodsticks)は三角形の断面(歯と歯との間のスペースを想定)をもつ楊枝様の清掃器具をいい歯科ではこれを利用することが多い。

さて、
百聞は一見にしかずの例えをここで。

歯科予防先進国スウェーデンの有名なオーラルケア製品を取り扱うメーカーTe Peの歯間ブラシの解説図を見て頂こう。

汚れの除去効果の違いがよく想像できると思う。

最初から、この図出せよと言われそうである。
今日はここまでにしたい。