前回、お口の中の状況は、全身の健康状態を映す鏡とお話ししました。

このことは換言すれば、口腔環境は全身の健康状態と密接に関連していることに他なりません。
最近、各種のメディアにおいて、”口腔内のある種細菌が様々な疾患へ悪影響を及ぼすことをとりあげる機会が多くなり、上記のかかわりは良く知られるようになってきました。実際、現在では医科・歯科連携のもと入院中あるいは介護施設においては、クリーニングを主体とする口腔ケアに加え、食生活のリハビリをも含めた包括的な口腔ケア(クリーニング、摂食嚥下機能訓練)が実施されてきています。

現在のコロナ渦においても、上述の考えはかわらず同様であり、新型コロナウイルスによる感染症が非常に重篤な健康被害をもたらす可能性があることから、よりいっそう口腔ケアの重要性を認識しておく必要があると考えます。

これから、数回に分けてこのことについて記していきたいと思います。

 

■口の中の細菌の数はどのくらい?

お口の中(以下、口腔内)には、約500~700種類の細菌(常在菌)が検出されている。

その数は、

  • 口腔のケアが十分に出来ている人で約2000億
  • 口腔ケアが不十分・歯をほとんど磨かないひとで4000億~6000億

といわれている。

口から考える命と心と病 「口腔細菌の世界へようこそ」
落合邦康・日本大学特任教授
毎日新聞 医療プレミア 2017年8月23日より

 

この数は、腸管内の細菌数(同じ表面積にした場合)と同程度といわれています。

しかしながら、この細菌は口腔内に均一に分布しているわけではなく、また、日常生活や口腔ケア前後においてもその数は変化します。

このあたりは、また次にお話ししたいと思います。

今日はここまで。