昨日の記事につづいて、今日は転んだり、スポーツをしていて顔を殴打してしまった等,不慮の事故により歯が完全に抜けてしまった場合(完全脱臼)の処置前にしていただきたい事のお話し。

これより、今日の本題、歯が完全に抜けてしまった場合について。 このような不慮の事故により、歯が抜けてしまった場合には、再植術により歯を元の位置に戻せる可能性がある。 再植術の成否(再植後の生存)をきめるのは、歯根表面に残存する歯根膜。 上図のとおり、歯根膜は歯の根、すなわち歯根表面にあるセメント質と歯を支える歯槽骨との間に存在し、歯と骨とを強固に結びつける非常に薄い膜様の靱帯である。歯に加わる圧力を緩和する機能を持つほか、歯の感覚(触る、圧力、痛み)に関連する受容器が存在すると考えられている(エビデンス未)。

脱落した歯では、この歯根膜の歯根への付着の程度が問題になってくる。 外傷によりお口の外に出た歯の歯根膜の生存は、外に置かれた時間とその保存状態により影響を受ける。 歯根膜は非常に乾燥に弱く、乾燥状態に2時間以上おかれると大半の歯根膜は死滅してしまうと考えられている。 したがって、対処可能な歯科医院へかかるまでの間に抜けた歯を乾燥させずに保存しておくが大切である。

代表的な対処例を下記にあげる。

1)牛乳 入手しやすい滅菌製品であり、生体の浸透圧に近い。歯根膜の保存を5時間程度できるといわれる。

2)市販の保存液 脱落した歯の保存のために開発された市販の薬剤:ティースキーパー【ネオ】、ネオ製薬株式会社 歯根膜の生活力を24時間ほど保てるといわれる。
*画像はネオ製薬株式会社HPより引用

3)口の中(前庭と呼ばれる歯列と唇・頬との隙間) 歯根膜の生存を唾液の作用により数時間程度保てるといわれる。誤って飲み込まないためにも、表記のとおり、お口の前庭部に歯を置いておく。  

上記の方法で、できるだけ早く歯医者さんを訪れて下さい。