結論からいえば、極めて特殊なケースをのぞき”イエス”です。
今から60年近く前より、歯垢(プラーク、バイオフィルム)と歯肉炎とが関連することが明らかにされています。
12名の健全歯肉を有する被験者に対し、ブラッシングおよびいっさいの口腔清掃を中止させ、歯面に歯垢を堆積させた。中止後の歯肉炎の発現を確認した後、ブラッシングを再開させた。この間のプラーク(歯垢)指数(PI)と歯肉炎指数(GI)との関係を調べた。
Löe H., Theilade E., Jensen S. B. : Experimental Gingivitis in Man., J. Periodontol. 36, 177-187, 1965.
*PIおよびGIはブラッシング中止後10日前後に上昇し、ブラッシングを再開させると速やかに両インデックスともに減少している。画像は下記文献より引用。
Lang NP et al : Gingivitis as a risk factor in periodontal disease., J Clin Periodontol 36 (Suppl. 10): 3–8 ,2009.
健全な歯肉を有する被験者に対して、お口の清掃をやめさせ歯垢を堆積させ、歯垢の堆積状況、歯肉の炎症所見との関係を見た研究では、歯垢の付着具合が上昇するにつれて歯肉の炎症スコアが上がることが認められました。さらに、その後、ブラッシング等の清掃を再開させると歯肉炎が治ることも示されました。
このように、ブラッシングにより歯肉炎は改善します。
しかしながら、その原因となる歯垢の付き方、歯の部位等は患者さんにより様々です。
特定部位において、ブラシにより磨くのが困難で歯垢が停滞したままになりがちになったり、歯垢の堆積を助長する歯石はブラシで取り除くのは困難です。
私たち、歯科においてこれをご指摘、指導していくことになります。