前々回、インプラント治療において歯周病の存在がその予後に大きなリスクになることを記した。

 

では、歯周病を引き起こす歯周病菌がいなくなればいいのでは?との考えから、
残っている歯をすべて抜いてしまえば、この細菌のリスクは無くなるというような極論が生まれるかもしれない。

しかしながら、これはNo.である。

歯周病菌は、歯が無くなっても歯以外のお口の粘膜、すなわち、舌、口蓋、頬粘膜、歯肉に存在することがわかっている。

 

無歯顎患者における唾液、口腔内の各部位を検索し、口腔細菌の抽出とその分布について報告。
Sachdeo A, Haffajee AD, Socransky SS. : Biofilms in the edentulous oral cavity., J Prosthodont.17(5), 348-56, 2008.

 

とくに舌の汚れである舌苔には多くの歯周病菌が存在することがわかっており、その量が増えるに従って菌の数も上昇することが知られている。

例え歯が全く無くなったとしても、その後のインプラント治療のリスクは低下せず、治療後のお口の中の清掃,管理が重要であることは変わらない。