歯が抜けた顎の処置としては、下記の治3つの処置方法がもっぱらとりあげられます。

歯が抜けた顎の処置方法
  • ブリッジ (固定性義歯)
  • 義歯(可撤性(取り外し式)義歯)
  • インプラント(人工歯根)

上記以外にも、歯の抜けた後の治療法には、下記の2つの治療法も用いられる場合があります。

  • 矯正治療
  • 歯の移植処置(自家歯牙移植

歯の欠損の治療は、患者さまのお口の状態や全身状況、ご希望等々をお聞きし、幾つもの方法を情報提供して良く共有し、ご同意を得て始めることに論を待ちません。
画一的に歯が無くなったので、インプラントということはあり得ません。

以下、当クリニックにインプラント治療で紹介されたケースにおいて、矯正治療により対応したケースを供覧します。
なお、使用画像は患者さまのご了解のもとに掲載しています。

治療前のX線写真

患者さまは、抜歯後にインプラント治療を希望されたことから他院から当クリニックへ紹介来院されました。

  • 主訴:右下の歯ぐきが腫れることを繰り返す
  • 現病歴:近医を受診し、右下第二大臼歯の歯根が割れていることを確認。抜歯になることから、治療法としてインプラント治療を勧められ、同院より紹介により当クリニックを受診した。
  • 現症:左下第二大臼歯(画像赤○)の歯根が破折している状態で、周囲の歯周組織に炎症所見を認める。

治療前のX線写真・治療計画

抜歯後の処置として、上述の各治療法および利点・欠点を合わせて説明する。
患者さまは、できるだけ『歯を残したい』との希望があった。

お口の中の状態、患者さまのご希望を合わせて以下の治療法をご提案した。
当該大臼歯を抜歯した後、その遠心(後方)には、埋伏(骨に埋まった状態)した智歯があることから、これを矯正治療により移動させて欠損部を改善する。

矯正治療中のX線写真

矯正治療は、全顎的な歯の移動は希望されなかったことより、限局的な矯正治療によりアプローチすることに。
当該欠損部位のある臼歯部(小臼歯、大臼歯)に限定したダイレクトボンディング法による矯正治療を行い、加強固定装置としてミニインプラントを使用した。

矯正治療後のX線写真

治療後のX線写真

治療期間は約8ヶ月で現在まで良好に経過している。


下に歯の欠損における矯正治療応用の利点、欠点を示します。

歯の無い欠損部位における矯正治療の利点と欠点

利点
・歯を削ることがなく治療できる
・欠損部のみならず、歯並び全体の改善も行うことが可能

欠点
・欠損の範囲が少数歯のケースに限られる
・治療期間が比較的長くかかる
・治療期間中にはブラケット・ワイヤーが歯の取り付けられるため違和感を感じることがある


このように、歯の抜けた後の処置には、様々なオプションがあります。
繰り返しになりますが、歯が抜けた=インプラント では決してありません。